プロジェクトの目的
電子出版の特性を活用した可能性の一つとして、紙の出版物では想定できなかった記事・目次等の単位で細分化されたコンテンツ(以下、「マイクロコンテンツ」という)を流通させ、利用者がニーズに応じて読みたいマイクロコンテンツを閲覧・参照する環境を構築することが可能である。
しかしながら、一般の電子出版の分野においては、国民が読みたい記事を選択して読める等の「オープン型電子出版環境」整備の研究が不十分であり、そのための基盤の一つとしてマイクロコンテンツ単位でもコード(ID)を付与して、その促進を図る仕組み等について検討する必要がある。
その「オープン型電子出版環境」の実現のためには、次のような課題がある。
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- 現状の紙の出版物の制作・流通管理においては、「パッケージ」単位によるコードのみとなっており、流通の最小単位である「記事・目次」単位でも付与できる体系になっていない。
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- 現状ではマイクロコンテンツを検索・編集するしくみが不十分である。特に、検索においては、全文検索がほとんどであり、読者(国民)は、読みたい出版コンテンツへの到達性がまだ低いため、更なる新しい検索手段が求められている。
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- 現状では、まだ限られた出版社(者)や配信流通事業者でしか、電子出版ビジネスに参画できていない。
以上のような背景を鑑み、オープン型電子出版環境を実現するため、本プロジェクトにおいては、次の3つを目的としている。
- 1.
- 多くの読者に電子出版を選択して読める環境を構築するために、電子出版の流通管理を円滑化するための「記事・目次(マイクロコンテンツ)」単位でも付与できるコード体系を検討し策定する。
- 2.
- そのコード体系に基づいて、読者に電子出版の検索を容易にすると共に、出版社等が新しい電子出版ビジネスを実現するための目次情報等のインデックス情報データベース等の検討をする。
- 3.
- そのデータベース等を利活用し、出版社等のビジネス参入障壁を下げ、配信流通事業者等との流通を促進し、読者に多くの電子出版コンテンツを提供するしくみを検討する。
プロジェクトの実施体制と実施内容
【実施体制】
- 代表組織
- :社団法人日本雑誌協会
- 共同提案者
- :伊藤忠テクノソリューションズ株式会社
- 共同調査者
- :株式会社インプレスR&D
また、電子出版市場の発展に寄与するために、電子出版の流通管理のためのコードの共通化を目指して、社団法人日本雑誌協会を代表提案者に「次世代電子出版コンテンツID推進会議」を設置し検討をした。
【実施内容】
- 1.
- 読者のニーズに応じて、その読者が読みたい記事を選択して読める環境を提供するためには、電子出版の流通管理の最小単位を「記事・目次」単位として設定し、「電子出版コンテンツ流通管理コード(仮)」の仕様を検討し、そのコードを付与したデータの閲覧性を検証した。
- 2.
- 「電子出版コンテンツ流通管理コード(仮)」の仕様に基づいて、読者に電子出版の検索容易性・コンテンツ本文到達性の向上を図り、出版社等がデジタルの新しいビジネスを実現するための目次情報等のインデックス情報データベースの実証実験を実施する。本データベースにより、コンテンツ関連情報(例:記事タイトル、本文からの抽出キーワード等)による意味情報検索の実験を行い、検索容易性や本文到達性等を検証した。
- 3.
- 「電子出版コンテンツ流通管理コード(仮)」の策定により、今後の電子出版における出版社の流通管理コードの共通化を図り、配信流通事業者やデバイスメーカー等の関連事業者との電子出版流通を円滑化し、多様な提供方法により読者との電子出版との出会いの機会を増大させる。
そのため、上記の電子出版コンテンツ流通管理コードやインデックス情報データベース等を利活用した電子出版のクラウド型のオープン型電子出版についても検討した。
プロジェクト成果・ガイドライン(仕様書)
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- 報告書(概要版) (441KB)
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- 報告書(全体版) (23.5MB)
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- ガイドライン及び仕様書案
- 「電子出版コンテンツ流通管理コード(仮)」仕様書案 (153KB)
- 「電子出版コンテンツ流通管理コード(仮)」運用ガイドライン (370KB)
- 「電子出版インデックス情報データベース」コンセプトガイドライン (274KB)
- 「電子出版インデックス情報データベース」仕様書案 (492KB)
- 「電子出版スマートクラウド」コンセプトガイドライン (3.4MB)